「働いていると年金が止まる」と思っていませんか?
実は、条件によって全額支給される場合もあるのです。
この記事では、在職老齢年金についてよくある誤解と正しい知識を解説します。
在職老齢年金とは
年金を受給しながら働く方について、一定以上の給料・賞与がある場合、
年金の一部または全部が支給停止となる場合があり、
この制度を在職老齢年金といいます
対象者
・老齢厚生年金を受けている厚生年金(共済年金)加入者
・老齢厚生年金を受けている70歳以上の方で厚生年金適用事業所に勤務されている方
・老齢厚生年金を受けている議員報酬のある方
調整がかかる年金
・加給年金を除いた老齢厚生年金(退職共済年金)の報酬比例部分
・厚生年金基金の代行部分
調整の対象となる収入とは?
・その月の標準報酬月額
・過去一年の標準賞与額の合計を12で割った金額(=月あたり)
計算方法
在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式
- 基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※以下の場合
全額支給 - 基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円※)÷2
※令和7年度の支給停止調整額
出典)日本年金機構ホームページ
具体例で解説
※端数処理については、50銭未満切り捨て、50銭以上は切り上げています。
例)
報酬比例部分:800,000円
過去一年の標準賞与額の合計:1,200,000円
毎月の標準報酬月額:300,000円
項目 | 金額/計算式 | 説明 |
報酬比例部分 | 800,000円 | 年金額の基礎となる金額 |
基本月額 | 66,667円 | =800,000円 ÷ 12 |
過去1年の標準賞与額の合計 | 1,200,000円 | 年間の標準賞与額の合計 |
毎月の標準報酬月額 | 300,000円 | 毎月の給与の基準額 |
総報酬月額相当額 | 400,000円 | =300,000円+(1,200,000円 ÷ 12) |
基本月額+総報酬月額相当額 | 466,667円 | =66,667円+400,000円 |
停止額の有無 | 停止なし | 合計が510,000円以下のため |
よくある誤解
❶ 農業や不動産収入は対象外
❷ 70歳を過ぎても働き方次第で対象になる
❸ 調整対象は「報酬比例部分」だけ
❹ 厚生年金基金の代行部分も対象
❺ 毎月の給料ではなく、標準報酬月額と賞与で判断
まとめ
在職老齢年金は、働く意欲を奪う制度ではありません。
正しく理解すれば、「損をしない働き方」が見えてきます。
不安な場合は、年金事務所での確認が確実です。
ムダに働き控えることなく、ライフスタイルに合った選択をしましょう。
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